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減感作療法について

抗原特異的免疫療法の歴史は古く、1911年Noonという人がイネ科花粉症の治療方法として報告したのがはじまりです。薬物治療はもっと遅くに始まり、現在治療の主流である抗ヒスタミン薬は、1942年に始めて販売されまました。

日本国内では1960年代にハウスダスト、スギなどの治療薬が開発され、これまで皮下注射による減感作療法が行われてきました。
アレルギーの原因となる物質の注射用エキスを少しずつ体内にいれて徐々に増やすことにより、体を慣れさせて治す方法です。例えばスギ花粉症の場合には、スギ花粉を含んだ注射用エキスを少量から注射し、徐々に量を増やして、体質を徐々に変えていきます。 治療開始してから2~6か月の期間をかけて週に1~2回のペースで注射を行い薬の量を維持量まで増やします。
ある程度増やした状態で、副作用がないこと確認し、注射の頻度は週1回、2週に1回、一か月に一回と間隔をあけていきます。早い人は開始から2か月ぐらいで治療効果が現れはじめ、これを2年以上続けることで、徐々に効果が高まっていきます。
この脱感作療法の治療効果は、おおむね80%以上の患者さんで自覚症状が改善し、抗アレルギー薬などの薬を減量ないし中止できます。また薬物治療よりも優れた効果があることが確認されています。 国内外のガイドラインで推奨されており、スギやイネ科およびブタクサを中心に減感作療法がおこなわれています。

注射をする女性

その反面、短所として

  • 1.多くの回数の通院・期間が必要になる。(少なくとも40回以上の通院、2年以上の治療期間)
  • 2.注射による投与であるため痛み・腫れをともなう。(痛い!!)
  • 3.頻度は少ないがアナフィラキシーや喘息発作等の重篤な副作用が誘発されることがある。

また1980年代に副作用が少ない第2世代抗ヒスタミン薬や鼻噴霧ステロイド薬が市販され、簡便で即効性があったことから広く普及しました。これら複数の要因が重なったため、減感作療法はあまり普及せずも実施する医療機関も年々減少してきています。

そのためこのような短所を改善するために注射以外の方法の検討がされるようになりました。鼻腔内投与や内服など投与経路を変えた様々な方法が試された結果、舌下免疫療法という、舌下の粘膜から薬を吸収させる方法が生まれてきました。

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舌下免疫療法について

舌下免疫療法は、1990年代よりイタリアなどヨーロッパで、注射用エキスの経口に投与での治療効果が報告されました。その後、ヨーロッパ、アメリカなどで、花粉症(カモガヤ、ブタクサ、カバノキ)、ハウスダスト(ダニ)などで、大人だけでなく小児に対しても有効であるとの報告がされました。
日本においては、2003年ころより舌下の投与による治療法が試みられる様になってきました。

舌下にエキスを入れる女性

2010年秋からスギ花粉症に対する舌下免疫療法の臨床治験が行われ、その有効性が確認されました。 また、副作用も減感作療法よりも少ないことがわかってきました。

治療は減感作療法と同じく、少なくとも2、3年かけてゆっくり体質の改善を図ります。
舌下免疫療法は毎日花粉症エキスを口に含んでいただく治療法です。低濃度、少量から投与し、少しずつ増量、高濃度に移行していきます。3週目以降は一定濃度、一定量を含んでいただく治療を行います。

治療効果は、減感作療法と同じく飲み薬よりも効果があるようです。
ただ注射による減感作療法と比べるとやや劣るという報告が多く、ほぼ無症状となる例は20%程度、自覚症状が改善し、抗アレルギー薬などの薬を減量ないし中止できる患者さんは全体の70~80%ぐらいと言われています。

しかし、その長所として

1.経口なので自宅での薬の投与が可能 毎週通院する必要がない。
2.注射の痛みがない。
3.重篤な副作用が皮下注射による減感作療法よりも少ない。
医師管理下とはいえ自宅での投与が可能で患者負担が少なく、欧米ではすでに保険診療としても用いられており、その評価も確立しています。現時点では国内ではスギ花粉のみが保険適応となってます。